チックについて

チックという言葉を聞かれたことはありますか?

瞬きをする、顔をしかめる、口を尖らせたりゆがめる、下を突き出す、首をふる、肩をビクッと動かしたりすくめる、腕をふったりまわす、地団駄を踏むように足踏みする、飛び上がる、性器をいじる。あるいは、鼻を鳴らす、舌を鳴らす、たびたびの咳払い、「あー」「シュー」や「んー」などの声を出す。こういったことを「本人の意思とは関係なく」することをチックと言います。

子供から大人になるにつれて自然消滅するかたもいらっしゃれば、そうではないかたもいらっしゃいます。わかりやすい例えをだすなら、芸能人のビートたけしさんがそうですね。ビートたけしさんのように、大人になってもその症状があるかたというのは一定数いらっしゃいます。

このチックについて、その症状が出てくる年齢はどのくらいなのでしょうか。

チックは4、5歳で出てくるようです。一般的にこの大きさになってくると、徐々に善悪の判断ができるようになってきます。その中で「自分のやりたいこと」とその行動の結果、「周りの人から叱られるであろう未来」も徐々に予測できるようになってきますが、まだまだ自我だけで暴走することが多いです。

次に10歳前後の子供さん。視野が広くなり、遊んでいる時でも危険ではないか、状況判断ができるようになってくる年齢です。この年齢になると子供さんは「理想の自分」と「現実の自分」との差を大きく感じることが徐々に増えてきます。

チックの原因自体は医学的に研究が進められている段階ですが、臨床心理に携わるかたのお話では「他の人を傷つけないように なにかを頑張って我慢している」状態であることが多いんだとか。「頑張りすぎてあんまり余裕がない状態」と言い換えてもいいかもしれません。とくに親御さんや環境が原因というわけではなく、その子供さん自身の性格によるところが多いようです。

さらに大きくなってくると症状も複雑になり、最初にあげた症状以外に下記のような行動をとることも少なくありません。

汚言症(卑猥な単語や罵倒語などを言ってしまう)、反響言語(他人の言った言葉をおうむ返しに繰り返す)、反復言語(音声や単語を繰り返す、吃音とは違って単語である)。「ちょっとそれ、おうちの外で言わないで」ということも口走るため、気に病まれる親御さんも少なくないようです。また、周囲の人たちにびっくりされ、なかなか理解と支援を得にくくなってきます。ただそこで「もう、また!」「やめなさい」などとは言わず、なにか違うことに集中できるように行動を促してあげてください。

また「頑張りすぎている」と書きましたが、それは心だけではありません。体も同じように頑張っていることが多いです。

小児鍼を受けることにより、頑張りすぎて硬直している筋肉を緩め、同時に副交感神経が働きやすくなります。そうすると脳(や、延髄)からリラックスするホルモン(セロトニンやオキシトシン他)が分泌され、結果的に気持ちにもゆとりが生まれやすくなります。

これについては西洋医学でも同様のようで、同じことを目的とした用薬がなされるようです。小児鍼の利点は、この投薬の効果を打ち消すことなく、むしろより効果を出せるように体の状態を整えることが可能であるところといえるかもしれません。

もし上記のようなことでお悩みのかたがいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談いただければと思います。