西洋医学と東洋医学の違い

皆さんは西洋医学と東洋医学の違いってなんだと思いますか?

答えは人によると思いますが、私は「得意分野が違う」と思っています。

西洋医学は目に見えない部分(体の中)を可視化することが得意です。これはCTやレントゲン検査を受けたことがあるかたなら簡単に想像していただけるでしょう。

また、さまざまな体の成分や状態を数字化して、正常とされる基準と比べてその人の体の状態を分析することが得意であり、そこから生理学・病理学に基づき病名をつけることが得意です。

それでは東洋医学は 何が得意でしょうか。

東洋医学では目に見える部分から、そのかたの体の状態を分析することが得意です。どこを診るのかは流派によって異なりますが、おもに脈の状態・お腹の状態・舌(ベロ)の状態・お顔の状態からそれぞれ情報を得ることが多く、それらを総合して判断します。

すこし脇道にそれますが、私たち鍼灸師は病名を診断することは法的に禁止されています(医師の指導のもとであれば、これに限りません)。言い方をかえると、「鍼灸師は病名をつけてはいけない」ということです。

ではどう治療するのか、と疑問に思われるかたも多いと思います。

体の状態を総合的に判断する、と書きましたがこれを鍼灸師的に言い直すと、どの経絡が弱っているのかを判断する、と言い換えることができます。経絡治療では改善するためにどのツボが適しているか理論が整理されているため(流派により少しずつ異なりますが概ね同じ)、改善したい経絡にそって鍼灸を用いて施術します。

困っている部分のみをさわるのではなく、弱っている経絡までさわることで体質改善をめざすことから「全体治療」と言われることが多いです(困っている部分のみを触る場合は「局所治療」といいます)。

当院では、脈とお腹の状態から情報を得たあと、この全体治療をおこなって体の底力をあげ、さらに局所にたいして施術もおこなっております。

一方で西洋医学では局所に焦点をあて、薬や手術で治療をすることが多いです。

それが手っ取り早く、経済的な負担を考えても患者様にとって良いケースが多いのは事実です。

その一方で、困っている箇所がたくさんある方や、病院に行っても問題ないとされた場合(原因が特定されないため「不定愁訴」といいます)はどうすればいいのでしょうか。

その分たくさん病院にかかることも一つの選択だと思いますが、病院の医師も他の病院と被ってはいけない薬の共有など、連携を取らなければならず、現実的にそれを実行してくださる病院というのは個人病院でないと困難なことが多いです(大きい医療機関ほど、1日に診なければいけない患者数が比例的に増え、一人の患者様にかけられる時間が短くなってしまいがち)。

そして不定愁訴は原因がわからないために、改善の仕様もないとされがちです。

そんな時、ここに書いた話を思い出していただき、当院だけでなく東洋医学を試されてみるのもいいかもしれません。

どうか少しでも、あなたの選択の幅が広がりますように。